蒔けない品ない

きのこ狩り−7−

前日からマジメに病院の指示通り行動していたので
身体の中はきれいなものだ。
初めて見るmy腸内映像・・・

膨らませるために空気が送り込まれている。
そこを黒い蛇がぬらぬら、くねくねと侵入してくる。

「うぅっ」「ん・・・・・」「あー」とかなんとか呻く。
「楽にして、深呼吸!」などと仰るが、なかなかそうもいかず。

直腸から少しS字結腸に入ったところできのこ発見。
「これが出血の原因でしょう。」と、副医院長。

周りをよく診ながら、黒い蛇はどんどん奥へ入っていく。
S字結腸から下行結腸、横行結腸、上行結腸・・・
それに続く小腸に少しばかり入ったところで長さ(或いは操作?)の
限界らしく、ブラックスネークは再びギロギロと辺りを
ねめつけながら(こんな単語あったか?)ゆっくり出てゆく。

結構キツい。声が出る。

きのこのところまで戻ったら、いよいよ処置である。
黒いワイヤーがループ状になってカメラの脇から出てくる。
そいつをドクターは器用に手元操作して、きのこに掛けるのだ。
2度、3度のトライできのこがループに入る。
ワイヤーを絞ってループを少しすぼめながら、きのこで言う
「いしづき」のところへ。更にループを縮めて・・・・

「じゅっ」という音など聞こえない。腸内の出来事。
しかしモニターには湯気だか煙だかが見え、焼き切ったのがわかった。

落ちたきのこはそのままに、黒蛇は出て行く・・・ふう。

(続く)

きのこ狩り−6−

処刑場は事務のオネエたちが居る部屋のドア一枚隣。
(うわ、こんなところでかよ。狭っ。)
わしはいったん下半身裸の情けない姿になって、それから
不織布の短パンツに足を通す。お尻のところが大きく
開いているのでなんだかスースーして心もとないったらない。

横たわる診察台には吸収シートの大きいものが敷いてある。
「はは。なんやこれ、うちのワンコと同じやんか」
などと軽口を叩いて強がってみる。
少し古く、筐体表面がうす汚い内視鏡の設備。
(あ、お騒がせオリンパス製だ)と思う。
診察台の反対側にはこれも少し古いモニター。
これらに挟まれたかたちで横たわると、副医院長が現れた。
点滴が打たれる。中身は例の塩水と砂糖水らしい。

「リラックスするための注射を打ちたいのですがどうされますか?」
その方がやり易いというし、人によっては痛いらしいので承諾。
注射1本もインフォームドコンセプトに従っての進行なんだな、と思う。
点滴中の注射なのであらたに「チクンッ」はなく、点滴針の側に。

やがて、黒い蛇があらわれ、蛇の目に映るものは眼前のモニターに
そのまま映し出される。
黒い蛇は短パンツの中、わしの菊門へ・・・

「うえっ、気持ち悪う

(続く)

きのこ狩り−5−

一升もの下剤を幾度もカップに注いでは口に運ぶ。
もう何杯飲んだのだろうか。
珈琲カップ一杯180mlとして計算上全部で10杯?
いやいや感覚としてはそれよりずっと多い。
ポカリスエットに似た味でそれほど飲みにくいと
いうことはないのだが、問題はこの量だ。
大好きなキリマンジェロ珈琲だって一升飲めなんて無理〜。
これはもう刑罰だ。わしが何をしたというのだ?
毎朝柳川へ向かう道で10台ばかりぶち抜いてただけではないか。

娘と話しながらどうにか1/4ほどヤっつけたところで出勤するという。
疲れと眠気がこみあげてきたのでベンチの端に置いた、着替えの入った鞄に
上半身を預けて身を横たえる。TVを見るとはなし見ているうちにいつしか
眠りに落ちた。

ふと覚めてすぐに「デカワンコ」の再放送が始まる。多部未華子の表情は
面白い。娘いわく「ぶさ可愛い」と。滅多にいないヘンな顔とも思えるし、
クルマのCFでのちゃっかりさんはとてもキュートに映る。
行きたくなり、行く。
1/2・・・、3/4・・・、GOAL 飲み干した。
よくやった、わし。パチパチパチパチパチパチ・・・拍手と歓声鳴り止まず。

置いてあるベッドに横たわってTVを眺める。何があっていたのかも覚えず。
また行きたくなり、行く。
ベッドはエアコンの直下なので暖かい。すこし眠る。

またまた、行きたくなり、行く。

看護士がやってきて、色を尋ねる(16進数のカラーコードで答えちゃろか)と
思ったら、色見本を指せばよいのだった。
無色透明になったら、検査に入ると。
退屈なので部屋から出て少し院内をあるいたり、煙草を点けたり。

目的の色に到達したので看護士に確認してもらう。
そしてまた部屋に戻り、待機していると、

「紋甲さ〜ん、お部屋移りましょうか〜」
「コレに着替えてくださいね」

渡されたのは濃い紺色の使い捨て短パンツ。(不織布?)
いよいよ第2の刑罰、異物挿入の刑場へと向かうのだそうり。

(続く)

きのこ狩り−4−

木曜朝がやってきた。
前日遅くまでチャットしていたので睡眠不足だが
どうせ病院ではボ〜っとしているだけだろうからかまわない。
昨日の下剤で柔らかい●●●を落とし、
娘の出勤がてらに病院へと送り届けてもらう。
娘は今日のために同僚と早番遅番を替わってもらい、
11時までに出勤すればいいのでゆっくりだ。
しばらく付き添ってくれるという。

9時に病院に入り、体温計測、血圧測定のあと
別室(点滴などを受ける、ベッドが4つある部屋)へ。
ここは家内が救急車で担ぎこまれたときに使用した部屋だ。

おばさん看護士がにっこり笑いながら下剤の入ったビニールバッグと
コーヒーカップを運んできた。
ビニールバッグには・・・1800ml
「これを2時間で飲んでくださいね」

・・・飲めるかよ。一升だぞ。

(続く)

きのこ狩り−3−

そして水曜日。検査前日。

朝昼晩の食事や飲み物に制限がかかる。

病院から渡された検査食は3食分だが
少量のお粥と味噌汁、昼はクッキーとスープ・飴。
元来痩せの大食いであり、麺好きのわしには
量不足で物足りず、すぐに空腹がやってくる。

夜8時に最後の検査食を摂り、下剤を飲む。

深夜まで起きていたが、空腹に耐えるのはつらかった。
水かお茶のみ、ちりちりと焦げるような感触が胃に。
飽食の時代に生き、好きなときに食べ物を摂れるのが
あたりまえの現代日本人である自分が良かったのか
悪かったのか・・・。

(続く)

きのこ狩り−2−

月曜日。
検便を持って病院へ。
大昔のそれはちり紙にとってマッチ箱に入れて
学校の先生へ提出だったが、今日びのは
液体で満たされたスティック状容器のなかの棒先端に
ちょっとだけ付着させ、容器に戻すのだ。簡単で衛生的。
ただ、洋式の水洗トイレだからウ●●を水没させない手段を
工夫しなければならないが。

この日は副医院長の診療。かれも若いが、
信頼はおけそうな感じ。

腹部レントゲンを撮る。
出来上がった写真(と、呼ぶのか?)を見て
副医院長は「よし、大丈夫っ!」と小さく強く言い放った。
見た目でわかるような大きい異常は認められない、
という意味である。

何か、肩の力が抜けたような気持ちになる。
何ヶ月もモヤモヤ抱いていた心配がすこしだけ融解。

先日の問診の記録、新に伝えた自覚症状を聞いて
「検査は早い方がいいですね、なんとかしましょう」と言い
木曜日にむりくり設定してくれた。

大腸ファイバーカメラ。いよいよ本格的な検査が始まる。
検査食の一日分パックと下剤を渡されて、説明を受ける。
ポリープが見つかったら、その場で内視鏡手術を実施すること
そうなった場合は2〜3日の安静のため入院となること。

具体的な前進の実感。
3日間の不在でまわりに迷惑をかけないようにしなくては。

大きな仕事を任された身であるのだから。

(続く)

きのこ狩り−1−

先週金曜日。
いよいよ意を決して正面から対峙することにした。
なにかのついでのようにしてふらりと病院に立ち寄る。
(そうやって自分を騙す?構えて行きたくない心がある)

気になる症状をあれこれ伝えて
問診、触診、腹部エコー、血液検査。

昨日まで研修医だったのか?と問いたくなるような
童顔で、若く、小柄な先生。
(おいおい、オマエさんで大丈夫なの?)
そのガクランを着せればたちまち高校生か
もしかすると中学生に見えてしまうようなお医者さんは
きっと外観にコンプレックスをもっているのだろう
似合わない粗野な物言いでわしや看護士に接しては
「ボクを小馬鹿にするな!」とでも言いたげ。
そんなことが手に取るようにわかるなんて
わしも年をとったなあ・・・
大丈夫だよ、ボク。馬鹿にしたりなんかしない。
(彼は数日後純白のPORSCHEで出勤してきたチクショー)

「すぐに出る結果や、診たところ、異常と思えることはない。
自覚症状があるなら、来週から検査しましょう。」

検便のキットを持たされて病院を後にした。
明日は姪っ子の結婚式、早起きして福岡入りだ。

(続く)

睡眠不足、喫煙、ストレスだよね

昨日夜から腸に張った感じがまた出た。
下行結腸。
よくないなあ。小さいけど鈍い痛み。
(腸に痛覚なんて無いんだよ!)

行かなきゃな、ほんと早くに。
あれもこれも、あせるわあ。

せっかく面白くなったきたのに皮肉。
こんな試練いらねえすよ。

何とか、ようやく

今週を乗り切った。

衰弱し、免疫力なんて殆どないような身体に
気温の低下と、風邪ウィルスの攻撃。
しんどい。

・・・実質あと8日だ。
きっと最後まで行ける。行かねば。

その後は準備をしなくては。
男として。夫として。父として。

これで最後かも

そのように思えば、
ひとつの仕事を
その人との会話を
一度のメールを
一本の電話を
日常のひとコマを
行動の決定を
踏み出す足を
おろそかにしないで済むことだろう

一期一会
毎日顔を会わせ
何度も会う相手でも
一緒に暮らす家族でも
それはそうかもしれないのだ

数億年前の星の輝きが
今網膜に映り脳に届く
人生は一瞬だと

娘とふたり喫茶店に行った
行けるものならまた行こう
息子ともいってみようかな

腕の中の犬に心で語る
おまえはここに来たんだね
他のどこでもない場所で
ほかのいつでもない時で
今この一瞬を
一緒に生きてくれるんだねと

また今日といういちにちが与えられる
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